どんな実験なのか

研究器具

免疫沈降という言葉はあまり耳慣れないものですが、生化学の世界ではこの実験が良く行われています。これは、可溶性の抗原と抗体が特異的に反応して不溶化し沈殿する反応(免疫沈降反応)を利用して抗原を検出する手法です。免疫沈降法というのは、あるサンプルの中に目的とするタンパク質が含まれているかを確認する目的で使われています。また、目的とするタンパク質と相互作用するタンパク質を見つけ出す場合にもこの方法が利用されます。相互作用することで別のタンパク質との複合体が形成され、それを回収するのが共免疫沈降法です。この方法は、免疫沈降法の応用バージョンとして生み出されたものです。

どんなところで使われているのか

女性

あるサンプルの中から、目的とするタンパク質を見つけ出すために用いられる免疫沈降法。あまり身近なものではないため、馴染みがない人はとても多いです。抗原と抗体の反応を利用している方法であるため、免疫の病気が絡んでいる研究施設で行われていることが多いです。例えば、筋炎は手足などからだの筋肉に原因不明の炎症が生じることで、筋肉痛を起こしたり、力が入らなくなったりする病気です。この病気は自己免疫疾患の1つとして知られています。自己免疫疾患とは、自分の身体に対する抗体が自分自身を攻撃してしまう厄介な疾患です。筋炎には多発性筋炎や皮膚筋炎がありますが、原因がわかっていない難病の1つなので気をつけなければなりません。原因を追求するために、日々研究が進められていますが、そのために免疫沈降法が活用されているのです。

目的タンパク質が回収できない

研究

免疫が関わる疾患の研究などで使われている免疫沈降法ですが、実験を進めるにあたり気をつけなければならないことも存在します。それは、目的タンパク質が検出できないということです。この実験は抗原抗体反応を利用して、標的となるタンパク質を検出させますが、時として得られるはずの目的タンパク質が回収できなかったというケースも見られます。そうなってしまうのは、標的タンパク質の存在量が初めから極端に少ないからという可能性があります。そのため、サンプル量が十分にあるかをチェックしてから、実験を進める必要があります。または実験で使用した抗体が、目的タンパク質と相性が良くなく、しっかり結合できていないかもしれません。その場合、別の抗体を用意して実験を進める必要があります。さらに免疫沈降法には間接法と直接法とがあります。もし間接法で行っていれば直接法に切り替え、逆に直接法ならば間接法に切り替えてみるのも1つの方法です。このように、目的タンパク質が回収できないのにはいくつかの原因があるため、1つ1つ丁寧に検証していくと良いです。

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